2012年5月16日水曜日

大幅続伸もSQ値を下回る 来週も欧州情勢に一喜一憂か ゴッホの毒舌日記@証券アナリスト


 11日の東京市場は大幅続伸したが、後場伸び悩んだ。業種別では、ガラス土石、その他金融業、電気機器、非鉄金属、精密機器などが値上り率上位。その一方で、石油石炭製品、空運業、鉱業、建設業などが軟調だった。売買代金上位は、ホンダ、ファナック、三井物、ファーストリ、三菱UFJ、ソフトバンクなど。

 日経平均は大幅高で寄り付いた後は、上値が重く伸び悩み。9700円を挟んでのもみあいとなり、日中値幅は91円に留まった。東証1部の値上り銘柄数は1225(全体の73.0%)に達し、規模別株価指数はすべて上昇。外部環境の好転で国際優良株や資源関連などが軒並み高となったほか、郵政改革法案の先送りで金融株にショートカバーが入った。その一方で、ディフェンシブ系の一角は換金売りに押された。

【来週の� ��通し】


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 波乱含みの展開となりそうだ。日経平均は25日移動平均(9907円)、心理的な節目の10000円の大台を奪回すると、底入れムードが強まる。しかし、今後の相場を占う意味で注目された、週末の日経平均終値は6月限SQ値(9747.
滝ミルテネシー州
59円)を下回ったのは気掛かり。通常、SQ値を上回って引ければ、翌週以降の相場は堅調となり、下回ると軟調になるというアノマリーがあるだけに、早期にSQ値を奪回することが至上命題だろう。週末にかけてやや戻したとはいえ、依然として先行き透明感が強いのも確か。外部環境の悪化で年初来安値(9378円)を更新すると、昨年11月末のドバイ・ショック時の安値(9076円)まで調整する可能性も否定できない。

 来週も、欧州情勢が相場の鍵を握りそうだ。ECBのトリシェ総裁が市中銀行への無制限の資金供給と国債購入を当面、継続すると表明したことで、若干ソブリンリスクへの警戒感が和らぐ可能性はある。ただ、ハンガリーの財税問題のように突然火の手があ� �ることも十分考えられる。さらに、ジョージ・ソロス氏が、欧州の財政問題の深刻化で各国政府が赤字抑制を強いられることから、世界経済は再びリセッションに陥る恐れがあると指摘ことも留意しておきたいところ。また、英・米石油生産大手のBP株の動向も注目されそう。メキシコ湾での原油流出事故の影響で、4月下旬から時価総額を約半分失い、破たんも意識される事態にまで追い詰められている。英政府が支持などの報道はあるが、米地質調査所がメキシコ湾の原油流出事故現場から流出している原油の量は、1日当たり2万〜4万バレル(従来は1万2000〜1万9000バレル)との推計を公表しており、予断を許さない状況。BPの破たんリスクが高まれば、相場全体にも影響しそうだ。


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 国内では、改正貸金業法の完全施行が18日に実施されることが注目されよう。完全施行により、◇貸付総額は年収の3分の1までになる、◇年収を証明する書類が必要になる、◇専業主婦は配偶者の同意が必要になる――などの厳しい制限が加わる。法改正の対象はクレジットカード会社や信販会社などのキャッシングにも及び、10人に1人が広義の消費者金融を利用しているという。総量規制に抵触する借り手は全体の5割に達する見込みで、現在消費者金融から借り入れのある人でも、規制強化を知らないのが2割弱に達するとの調査結果もある。個人消費の落ち込みにつながる可能性もあるだけに、法実施の影響を見極めたい。また、サッカーW杯も関心を集 めそうだ。11日に開幕し、14日には日本vsカメルーン戦が行われる。日本代表の下馬評は芳しくなく、予選敗退は織り込み済みのようだが、日本が敗戦した翌日は株式市場も下落する傾向がみられるだけに、日本代表には奮起してもらいたいところ。そのほかでは、首都圏マンション販売統計の発表、次世代自動車産業展・スマートグリッド展の開催、「アイフォーン4」の予約受付開始などで関連銘柄が賑わいそうだ。


【今週を振り返る】
 下値模索の展開となった。日経平均は週初に今年最大の下げを記録すると、9日には年初来安値(ザラ場ベース:9395円、終値べース:9459円)を更新した。週末にかけて切り返したものの、週間ベースでは200円の下落となった。米5月雇用統計が市場予想に届かなかったほか、ハンガリーの新政権が同国の経済状況について、極めて深刻との認識を示したことで投資家心理が悪化。欧州ソブリンリスクへの警戒感が強まり、ユーロは対ドルで約4年ぶりの安値、対円では約8年半ぶりの安値まで下落した。また、中国でストライキが相次いで発生し、進出する日本企業の影響も懸念された。ただ、中国の5月貿易収支で輸出額が前年同月比48.5%増と、伸び率は直近6年余りで最大を記録したほか、ECBのトリシェ総裁が市中銀行への無制限の資金� �給と国債購入を当面、継続すると表明したことで投資家心理はやや改善した。

【物色動向】
 外部環境の悪化で軒並み安となった。特に急速な円高進行で国際優良株が相次いで年初来安値を更新したほか、メガバンクなどの内需関連でも底割れする銘柄が散見された。また、商品市況の下落で資源関連は調整色を強めたが、特にメキシコ湾の原油流出事故の影響が懸念された三井物産が商いを伴って急落した。その一方で、中国の「所得倍増計画」や良好な機械受注、工作機械受注統計を背景に機械株が堅調で、ファナックの上昇が目立った。


【来週の予定】
 国内では、日銀金融政策決定会合〔〜15日〕、四季報2010年3集・夏号が発売、4月鉱工業生産確報(14日)、日銀目標金利、5月首都圏新規マンション販売、白川日銀総裁定例記者会見、「アイフォーン4」の予約受付開始(15日)、4月第三次産業活動指数、6月金融経済月報、次世代自動車産業展2010、スマートグリッド展2010〔東京ビッグサイト〜18日〕(16日)、5月日本製半導体製造装置BBレシオ(17日)、改正貸金業法が完全施行(18日)などが予定されている。

 決算発表は、三井ハイテック、サーラ住宅、スリープロ、京王ズ、正栄食品、HIS、ネクストHD、稲葉製、MPHD(14日)、サトウ食品工業(15日)、コーセル(16日)、ジーンズメイト、西松屋チェーン(18日)などが予定している。


 海外では、上海市場休場〔〜16日〕、オーストラリア市場休場、サッカーW杯1次リーグ日本vsカメルーン戦(14日)、インド5月卸売物価、独6月ZEW景況感指数、米5月輸入物価指数、米6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米6月NAHB住宅市場指数、米ABC消費者信頼感指数、ゲーム見本市「E3」〔ロサンゼルス〜17日)、ベストバイが決算発表(15日)、香港市場休場、米5月生産者物価指数、米5月住宅着工件数、米5月着工許可件数、米5月鉱工業生産、米5月設備稼働率、フェデックスが決算発表(16日)、EU首脳会議〔〜18日〕、ゴルフ全米オープン〔〜20日〕、米5月消費者物価指数、米新規失業保険申請件数、米1-3月経常収支、米5月コンファレンスボード景気先行指数、米6月フィラデルフィア連銀� ��造業景気指数、北米5月半導体製造装置BBレシオ(17日)、ASEAN高級実務者会合〔ハノイ〜19日〕(18日)、APECエネルギー相会合〔〜20日福井〕、ASEAN閣僚会合〔ハノイ〜23日〕、中国と台湾の経済・文化界の代表による「海峡フォーラム」が開催、サッカーW杯1次リーグ日本vsオランダ戦(19日)などが予定されている。



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